一目均衡表は、見た目の描線が全てと思われている人も多いようですが、一目均衡表は所謂テクニカルセットであり、描線以外にもいくつかのテクニカル手法が含まれている。
その中のひとつが、「型譜」。
これは、日本古来のローソク足の見方に関するテクニカル。
酒田五法が有名ですが、一目均衡表にも型譜が存在します。
酒田五法では三本の陰陽連等で勢力を読みますが、一目均衡表では五本以上の陰陽連、及び、一本のみ逆(陽連の場合は陰線)をつけた一陰(陽)介在という陰陽連も連続で続く陰陽線に連なる勢力として判断しているようです。
つまり、五陽連(五陰連)、もしくは一陰介在五陽連(一陽介在五陰連)以上の連続陽線(陰線)はその進行方向に勢力が発生したと判断する訳です。
また、この型譜に加え、この連続線が発生した発生値位置と到達値位置に限定線を引き、これの超え方を見ながら、勢力の強弱感を判断するテクニカルも存在するようです。(限定線と限定値幅)
雰囲気的にはチャネルラインの考え方に非常に似てますね。
実際にチャートに限定線を引いてみると、チャネルラインにピタリと一致してます。
限定線というのは、その発生時点値位置に付けるものなので、陽連ならチャネル下限、陰連ならチャネル上限を現す線として利用します。
つまり、陽連、陰連の発生を見てすぐにポジションエントリーに利用するものでは無く、勢力の発生とその経緯を観察するものなので、ポジションエントリーに利用するにはやはり一目の他の指標が必要となります。
さて、その型譜、限定線、限定値幅をユーロ円日足、今年の1/21からの上昇相場で見てみます。
まず2/18-26で、一陰介在六陽連示現①。終値には限定線①-1。
この一陰介在六陽連の示現で、限定線①をベースとした上昇勢力発生と見ます。
この限定線①と①-1、どちらを先に超えるかで、この上昇波の強弱感を見ていく訳ですが、その後3/12に大きな下ヒゲ陽線でこの限定線①-1を超えて終了。つまりこの限定線①からの上昇波はそこそこ強いと判断します。
この時点で大きな下ヒゲ陽線+限定線①-1超え、さらに一目均衡表では三役好転に遅行線が雲の上限突破してますので、文句無くロングとなります。
次に、この3/12からの上昇波が一陰介在七陽連で、3/12下ヒゲ下限に限定線②、3/23高値に限定線②-1。
ここでも、限定線①からの上昇波をブーストしていると判断しますが、次の日3/24には長い上髭陰線付けて一旦限定線②-1を割れてますので、要注意と判断。
その後、判断通りに②-1を大きく割れますが、前勢力の上限①-1は割れずに下ヒゲ反転します。
そして、4/2に限定線②-1を勢い良く超えますので、ここでロング判断できますが、翌々日陰線十字線発生で、高値警戒感に注意となります。(ここはいくらなんでも上値は追わないでしょうが、サインはこの十字陰線しかありません)。
この後、②-1を再度割れていきますが、この時点では陰連が出現していないので、上昇勢力継続中と判断します。
上昇勢力継続中、しかし弱含み.....という感じでしょうか?
さらに、下落後限定線②を割らずに、4/28から五陽連、限定線③。
限定線③を割らずに5/18から一陰介在五陽連、限定線④。
限定線④を割らずに、一陰介在六陽連、限定線⑤。
と、限定線⑤までは前勢力の限定線を割る事無く、次の勢力が発生するという強い上昇勢力である事が判ります。
実際のトレーディングでは、こういう上昇勢力継続のサインが見えている間は、他のテクニカルセットを利用しながら、下値を拾っていくような戦略が有効という事になりますね。
しかし、難しくなるのはここからですね
続く......
さて、⑤で一陰介在五陽連示現するも、次の日に1/21の上昇波始まって以来の限定線割れとなってしまいます。
ここで、当面はこの⑤の限定線が上値の限度として機能すると考えます。
ところが、実際は戻り高値で、陰線ヒゲ、陽線一日⑤を突破してますが、次の日大きく下落。
そのまま一陽介在六陰連という強い下落波となってます。限定線⑥、⑥-1
この時点では⑤をキープできなかったという事でここを割れたらショートという展開が考えられます。
⑥-1はほぼ④と同値位置ですが、一陽介在六陰連でもここを割れなかったという事は、そこそこの抵抗力が在ると見て、ロング仕込み(ポジドテン)という展開が考えられます。
案の定、その後一陰介在五陽連という強い上昇波で限定線⑦-1まで上昇。
その後もみ合いながら、限定線⑧まで上昇してますが、このテクニカルセットではポジエントリー判断は特に無し。
8/7戻り高値後、一陽介在五陰連示現。この時点で、直近高値⑤-1を超える事無く、下落勢力の発生ですから、ここから当面下げると見た方が良いという事ですね。となると、その後は限定線⑥、⑧あたりが上値目処になると考える訳です。
実際、その後戻りを演じるも、⑥を超える事無く、再度下落し、八陰連示現と、下落波の勢力の強さを明示してます。
その後、五陽連、六陽連で戻すも、結局限定線⑨を超える事できずに、下落波の強さを証明する形になってます。
この場合、⑩-1後、⑩を割るようならショートですが、実際は割らずに反転し、六陽連示現となってます。
この場合は、⑩-1を割れた時点でショートですね。
限定線⑫は一陽介在七陰連で直近の限定線⑪も⑩も割ってますので、下落継続と見たい所なんですが、実際はその後
一瞬⑫-1をヒゲで割れたものの、もみ合い後現在の12陽連で限定線⑧を超えようとしてます。
限定線は⑥⑧⑨⑫ですので、これを超えるようなら、⑬を下値限定とした上昇継続と見る訳ですね。
こんな感じなんでが、解るでしょうか?
五連以上を勢力の発生と見て、その派生点と終了点にチャネルラインを引きながら、それを超えるか超えないかで、発生勢力の方向、勢い、転換を見ると言えばわかりやすいでしょうか?
但し、これは一目均衡表のテクニカルセットのひとつでしかありませんので、当然ながらポジションメイキングには他のテクニカルセットと併せて判断する事が必要な訳ですが。
※判断に迷うと思われる値動きには丸印をつけてみました。
ここは判断難しいかもしれません。
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